江戸時代の隠れキリシタンの信仰本尊・マリア観音菩薩です。 20.5×23.5cm、銅製、1347g。 銅鏡(古鏡)タイプの壁掛け型本尊になります。 江戸時代の浮世絵などに採用されていた波紋を演習部に採用することで逆風の中で信仰を守る決意を示しており、神鏡の体裁をとることで神社やお寺にあっても代官から咎められないようになっています。 中央部には聖観音(聖母マリア)が洋椅子に腰掛けており、手を合わせる童子たちは祈願者の正面ではなく、マリアに抱かれる幼いイエスを向いており、マリアの右側には香油壺が置かれているという、キリスト教以外では考えられないモチーフの像容です。 磔刑後のイエスの遺体に塗るための香油を持って墓を訪れたとの聖書の記述に由来し、カトリックや正教ではマリアと香油壺はよく合わせて描かれます。 壁掛け部分はただの丸にするのではなく膨らみを持たせた十字架のマークになっています。 相当年数が経過していますがヒビ割れ欠けはありません。